RAC3 #18-5『pass the mic!! vol.8(ようちゃん編)再生を繰り返す世界共通言語としてのR&Bの現在地』

この記事の内容

spotifyのプレイリストの機能を使い、podcastと楽曲のサンドイッチ形式で運用している音楽Podcast。コンセプトは、「今よりちょっとだけ音楽が楽しくなるを目指す音楽番組!」です。Podcast名称は、「RAC3(ランダムアクセスコンティニュースリー)」で、雑食食いの今も音楽を聴き続けている2人(コモリ、ようちゃん)と最近何を聴いていいのかわからないタケさんの三人でお届けします。

今回は、ようちゃんプレゼンツ「再生を繰り返す世界共通言語としてのR&Bの現在地」をテーマに、DJたちがディープな音楽談義を繰り広げます。R&Bがどう進化し、世界中の音楽と繋がっているのか、ホットなナンバーと共に掘り下げていきます。※本記事は、AIを使用してPodcast番組を文字起こし、要約をしています

#18「再生を繰り返す世界共通言語としてのR&Bの現在地」

【オープニングトーク】

RAC3の第18回、今回のテーマはようちゃんpresents「再生を繰り返す世界共通言語としてのR&Bの現在地」です。ようちゃんによると、R&Bはヒップホップやエレクトロニカ、さらには各国のローカルミュージックとも繋がりながら、常に形を変えて「再生」を繰り返しているジャンル。今回は2010年代以降の楽曲を中心に、その進化と広がりを体感していきます。オープニングではフジロック2025の話題で盛り上がり、Fred again..の感動的なステージやVulfpeck、Little Simzの素晴らしさを3人が熱く語り合いました。生の音楽体験の良さを再確認し、期待感が高まる中で特集に突入します。

 

1. SZA – The Weekend (Funk Wav Remix)

特集の1曲目は、ようちゃんが「2010年代のR&Bクイーン」と評するSZAの楽曲です。セレクトされたのは、原曲のチルな雰囲気とは異なる、カルヴィン・ハリスによるポップでダンサブルなリミックス。ようちゃんは、SZAのカラッとして少年っぽさも感じさせるユニークな声質と、トラップ以降のヒップホップの影響を感じさせる3連符のメロディラインが魅力だと語ります。タケさんとコモリも「声が良い」と感心していました。また、フランク・オーシャンが作った内省的なR&Bの流れをSZAが引き継ぎ、独自のポップセンスで昇華させたと分析。現代R&Bシーンにおける彼女の存在感を示す一曲となりました。

 

2. Teyana Taylor – Gonna Love Me

続いては、テヤナ・テイラーの「Gonna Love Me」。この曲は90年代のネオソウルへの愛が詰まった、オマージュ的な一曲だと、ようちゃんが紹介します。コモリは「宇多田ヒカルかと思った」と、その歌声に驚きを隠せません。3人が特に注目したのは、彼女の絶妙なボーカルコントロールでした。ささやくように歌うパートの、消え入りそうで消えない息遣いや声の掠れ具合が非常にクールだと評価。その高い技術力に、全員が唸りました。古き良きソウルの香りを漂わせながら、現代的な感性で仕上げられたこの曲に、3人のトークも熱を帯びていきます。

 

3. Daniel Caesar & H.E.R. – Best Part

3曲目は、カナダ出身のダニエル・シーザーと、H.E.R.による美しいデュエット「Best Part」です。アコースティックギターのシンプルな循環コードの上で、男女のボーカルが心地よく絡み合う名曲。ようちゃんは「こういう曲を作るのは非常に難しい」とその構成力を絶賛します。同じコード進行でもメロディを変えることで全く違う景色を見せるスタイルは、R&Bの真骨頂であり、ゴスペルにルーツがあるのではと分析。コモリも過去にクレイグ・デイヴィッドの曲をコピーした際の経験を語り、歌い手の力量が試される構成だと納得の様子でした。R&Bが持つ「歌の芸術性」をじっくり味わえる一曲に、3人とも聴き入っていました。

 

4. Khalil Fong – 愛愛愛

ここからはアジアのR&B特集。トップバッターは、ハワイ生まれ・香港系のシンガー、カリル・フォンです。彼は2025年2月21日に41歳の若さで亡くなりましたが、アジアのR&Bシーンでは「レジェンド」として知られる存在でした。ようちゃんは彼の訃報をきっかけにこの曲と出会い、そのクオリティの高さに衝撃を受けたと語ります。オーセンティックなソウルミュージックのスタイルを貫いたこの曲に、タケさんとコモリは「久保田利伸のようだ」と盛り上がりました。日本のJ-R&Bのパイオニアを彷彿とさせるグルーヴに、アジアのR&Bが独自の進化を遂げていたことを実感。彼の早すぎる死を惜しみつつ、その功績にリスペクトを送りました。

 

5. Karencici – It’s not you it’s me

アジアパート2曲目は、台湾のアーティスト、Karencici。ようちゃんが最近ハマっているという彼女の楽曲は、シティポップ、ネオソウル、J-R&B、ブラックコンテンポラリーといった様々なジャンルの要素が、ベッドルームポップ的な質感の中で絶妙にブレンドされています。この複雑なサウンドに、コモリとタケさんは「掴みどころがないが面白い」と興味を示します。ようちゃんは、これこそがR&Bが世界中に広まり、各地の音楽と影響し合った現代ならではのサウンドだと解説。一つのジャンルでは括れない、この魅力的なグルーヴに、3人はアジアの音楽シーンの奥深さを感じていました。

 

6. 東京事変 – スウィートスポット

アジア特集の最後は、日本の東京事変が選ばれました。椎名林檎のボーカルは一般的なR&Bシンガーのスタイルとは異なりますが、ようちゃんはこの曲が「明らかにR&Bを意識して作られている」と指摘します。その根拠として、90年代のグループ、トニー・トニー・トニーからの影響を挙げ、特にアコギのフレーズやタメを効かせた歌い方にそれが表れていると分析。タケさんは「この流れで聴くとR&Bに聴こえる」と新たな発見に驚いていました。R&Bの定型にはないギターソロが入るあたりは、東京事変ならではのロックなアプローチも感じさせます。日本の音楽シーンにおけるR&Bの解釈の面白さを再認識させられる一曲でした。

 

7. FKJ – Better Give U Up

ここからは舞台をヨーロッパへ移します。1曲目はフランスのマルチプレイヤー、FKJ(フレンチ・キウイ・ジュースの略)です。ようちゃんが数年前にこの曲と出会い、その洗練されたサウンドに衝撃を受け、R&Bの新たな可能性に目覚めたといいます。この曲のグルーヴの根底には、ディアンジェロが確立した革新的なリズム感覚があります。従来の16ビートよりさらに細かい32ビートの感覚でリズムを構築するような、複雑で揺らぎのあるビートが特徴です。このスタイルがヨーロッパのアーティストにも影響を与えている好例だと3人は分析。国境を超えて進化するR&Bの面白さが詰まっています。

 

8. Kali Uchis – Igual Que Un Ángel

ヨーロッパ特集の2曲目は、コロンビア出身のアーティスト、カリ・ウチス。彼女はレゲトンやラテンミュージックなど多彩なジャンルをこなしますが、ようちゃんは「彼女のアルバムには必ずR&Bがある」とその音楽的ルーツを指摘します。近年ヒットしたアマピアノも、タイラのようにR&Bの要素を取り入れることで新たな魅力を放っていると分析。ポップミュージックの「歌」の部分をR&Bが力強く支えているという構図が見えてきます。タケさんとコモリも、どんなジャンルとも自然に溶け合うR&Bの懐の深さに改めて感心。ジャンルの垣根を越えていくアーティストの存在が、今の音楽シーンを面白くしているのでしょう。

 

9. DAMEDAME* – PROMISE

ここからは「未来のR&B」を探る2025年リリース特集です。1曲目はイギリスの新星、DAMEDAME*の「PROMISE」。この曲の最大の特徴は、コード感を極限まで削ぎ落としたソリッドなサウンドです。ベースとビートだけでグルーヴを生み出すスタイルは、現代R&Bの最先端だとようちゃんは語ります。コモリはこのアプローチを「R&Bのジェンガ」と表現。「歌」という本質は残しつつ、どこまで楽器の要素を抜けるかというスリリングな実験に、3人は興奮を隠せません。ヒップホップとの境界線が曖昧になり、ミニマルな音数で効果を生み出す。そんな新しいR&Bの潮流を感じさせる、刺激的な一曲でした。

 

10. TOKiMONSTA – On Sum ft. Anderson .Paak & Rae Khalil

未来のR&B、2曲目はプロデューサー、TOKiMONSTAのトラックです。アンダーソン・パークとレイ・アミという強力なボーカル陣を迎え、心地よいエレクトロニカのサウンドの上で、ソウルフルな歌声が躍動します。ようちゃんは、これもまたジャンルの解体と再構築の形だと解説。R&Bというジャンルは「破壊と再生」を繰り返すのではなく、中心にある「歌」という核はそのままに、周りのサウンドが自由に入れ替わることで、無限の可能性を生み出しています。しなやかに変化し続けるR&Bの生命力の強さを感じさせる一曲です。

 

11. Kehlani – (un)Folded

2025年特集の最後を飾るのは、現代R&Bシーンの重要人物、ケラーニです。ヒット曲「After Hours」をアコースティックに解体したこのバージョンは、まさに圧巻の一言。ほぼアカペラに近いミニマルな構成で、幾重にも重ねられた彼女の歌声がリスナーを魅了します。ようちゃんはこれを「極上のR&B体験」と表現し、声の波に飲み込まれるような快感を語りました。コモリとタケさんは、その音数を極限まで削ぎ落とすアプローチにフランク・オーシャンを重ね合わせます。ボーカルだけでどこまで表現できるかという挑戦に、3人は完全に魅了されていました。

 

12. Ariana Grande – imagine

特集の締めくくりとしてようちゃんが選んだのは、世代を代表するポップアイコン、アリアナ・グランデです。R&Bの歴史にはマライア・キャリーやホイットニー・ヒューストンといった伝説的な「ディーヴァ(歌姫)」たちがいますが、2010年代以降、その系譜を継ぐのが彼女だとようちゃんは語ります。ポップスターでありながら、その歌唱法の根底にはR&Bのソウルが宿っており、圧倒的な歌唱力と表現力はまさに現代のディーヴァと言えるでしょう。この壮大な特集のラストを飾るにふさわしい選曲でした。

 

【エンディングトーク】

2回にわたる壮大なR&B特集もエンディングです。ようちゃんは、この特集を通してR&Bが持つ懐の広さと、時代や国境を超えて進化し続ける生命力を改めて実感したと語りました。タケさんが番組のメールアドレスやX(旧Twitter)アカウントを告知し、リスナーからのメッセージを募集。「あなたの好きなR&Bも教えてください」と呼びかけました。国もジャンルも世代も飛び越えた、充実した音楽特集となりました。

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